水着

※スマボの水着&夏の強化合宿ネタ


 夏真っ盛り。じりじりと照りつける太陽の下、ボーダーは強化合宿中だ。海辺での訓練ということで、多くの隊員が水着持参で楽しんでいる。トリガー換装中の衣装もいつもの隊服から水着に変えている人が多い。かくいうも、小南や玲ちゃんなどの同学年のボーダー女子達と一緒に浮かれて水着を買ってきた一人で、ウキウキしながら合宿に参加した。
 今回の合宿ではいつもは玉狛支部にいる小南やとりまる、木崎さんも参加している。特に木崎さんは今回指導役として皆に戦い方を教えてくれるらしく、海パンにサングラス姿が眩しい。片手で機関砲(アステロイド)を担ぐ木崎さんに教えられながら、木虎ちゃんや玲、加古さんなどの素敵な水着をまとった相手と戦った。
 隊服から水着に変わったからといって別に防御力や攻撃力が変わるわけじゃない。分かってはいても、いつもと違う格好に換装するのは楽しい。普段の戦闘より気合いが入る気がした。
 訓練の合間には休憩を取るのも遊ぶのも許されている。合宿といってもかなり自由度が高い。個人戦の合間にも遊ぼうと海に向かうと、米屋や出水たち同学年の男子勢が繰り広げる本気のビーチバレーや、頑なに水着を着ようとしない荒船先輩(かなづちらしい)を面白がった穂刈先輩や影浦先輩が海に引っ張っていこうとするので賑わっていた。皆全力で夏と海を楽しんでいる。
 合宿で戦闘をすると何故かうきわがいっぱいもらえるので、はそれを使ってぷかぷか海に浮かんだり水をお互いにかけあったりして、一緒に来てくれた友子や光と遊んだ。
 めいっぱい楽しんだ後、少し休もうと浜辺に上がったら佐鳥がパラソルの下に座っているのが見えた。

「あ、先輩」
「やっほー」

 近づいてきたに気付いて顔を上げた佐鳥の髪の先はしっとりと濡れている。さっきまで泳いでたのかな、なんて思いながら挨拶してすぐ隣に座った。

「海楽しいね! 合宿来て良かった」

 女の子好きの佐鳥のことだ。即座に「ですよね! 眼福!」なんて返事が返ってくるかと思ったのに何も言ってこないから不思議に思って隣を見ると、佐鳥は不自然にから顔を逸らしていた。

「えっ、佐鳥どうしたの」
「……」

 尚も無言のままなのを心配して覗き込んだ顔が赤くてびっくり仰天した。なんで赤くなってるのこいつ。どうしたの本当に。あっけにとられてまで無言になる。

「あの先輩……ちょっと近いっていうか……」

 もごもごと呟かれた言葉に思わず目を見開いた。

「照れてるの!? の水着くらいで!?」

 いや、だって木虎ちゃんや遥の水着姿には「かわいい~!」なんて歓声を上げていたことをはよく知っている。こいつが女の子好きなことはよく知っているし、実際水着を着た2人はいつにも増して本当にかわいかったから別に嫉妬もしなかった。それなのに、2人みたいに超美少女でもないの水着姿に赤くなるなんて。

「いや、好きな女の子の水着はやっぱり特別っていうか……分かってくださいよー」

 女の子みたいに両手で顔を覆っての言葉にぽかんと口を開いた。

「……彼女の水着は特別?」
「はい……」
「……」

 濡れた髪間から見える真っ赤な耳に、年下の彼氏の可愛さを再確認した夏の日。