太陽
夏の天気のいい日は研磨の眉間のしわが深まる気がする。夏休みの朝、いつも通り朝練に行こうとクロと一緒に
を迎えに来た彼を見てそう思った。
「夏は暑いからほんとやだ……」
隣を歩くぶすくれた顔の研磨に笑う。反対側の
の隣を歩くクロも喉の奥で笑って口を開いた。
「お前冬だって寒くて嫌いだろ」
クロの言う通りだ。夏は暑いから嫌で、冬は寒いから嫌。春と秋はそこまで嫌いじゃないみたいだけれど、積極的に好きとも言わない。そこまで声を大きくして文句は言わないけれど、研磨は中々気難しいのだ。
「夏は暑いだけじゃなくて日焼けするからもっと嫌い」
「研磨すぐ赤くなっちゃうもんね」
こくりと頷くのと同時に見えた首筋は白い。色白の研磨はちゃんと日焼け止めを塗らないと肌が赤く焼けてしまう。同じように色白でもこんがり焼けていかした夏男になるクロと違い、見てるだけで痛そうな色になってしまうのだ。研磨ほどではないにしても
もどちらかというと赤くなりやすい体質だから、辛さはよく分かる。あのヒリヒリした痛みは何度経験しても慣れない。小さい頃から3人で外遊びをする前には、クロが研磨と
にちゃんと日焼け止めを塗ったか確認するのがいつもの決まりだった。
「曇りになってほしい……」
じりじりと照りつける太陽を恨めしそうに見上げ、ぽつりと呟く研磨の横顔からさらさらと金色の髪が流れた。痛んでいるはずの髪が光を透かして輝く様はびっくりするくらいに綺麗で、思わず目を奪われる。
「……でも研磨、太陽似合うね」
「何それ……嫌だよ」
心底嫌そうな顔で
を見る研磨の細い髪の先にそっと触れると、びっくりしたように顔を動かされた。
「何するの急に」
「いや、綺麗だなって」
顔を赤くして、意味が分からないという風に眉をしかめる研磨の髪は相変わらずきらきらと太陽の光を透かして輝いている。