理由はいらない

 フフフフフーゴがいらっしゃる。怒りでかなんでか、真っ赤な顔の。
 つまり、
 つまり。

 つまり、フーゴはの変態くさいお悩み相談を聞いてしまったのだ……!

 サーッと血の気が引くのが分かる。今ならフーゴに負けないんじゃないかってぐらいすごい速さで脳味噌がフル稼働するのがマジに感じられた。
 すぐにフーゴの目に触れない所に行きたい、でも部屋の入り口から出るにはフーゴ張本人の隣を通らなきゃいけない、窓からならフーゴに近付かずに外に出れる、でもここは5階でのスタンドはパワーがそんなに無い。
 ギュンギュン音がするぐらい高速で色んなことを考えた結果は一番簡単にフーゴの視界に入らなくなる方法に気付いて、それを実行した。つまり、ジョルノの後ろに隠れた。
 自分が座ってた場所(ジョルノの隣)を動いて、ジョルノをちょっと前に動かしてできた、ソファとジョルノの背中の間の狭い空間に無理矢理入る。体全部を隠そうとしたから靴を履いたままの足がソファに乗っちゃったけど、今はそんなことどうでもいい。とにかく必死に縮こまってジョルノの後ろに体を隠そうと頑張った。ちょっととかなんとか前から声が聞こえた気がするけど聞こえない振りをして紺色の背中にしがみついた。

は亀だは亀だは亀だ」
「亀はないでしょう」

 目をつぶって唱えるとジョルノがツッコミをいれた。今必要なのはツッコミじゃない、フォローだ!
 ぶつぶつ唱えるのを続けてると、「おい!」とフーゴが怒声を上げるのが聞こえた。このコツコツ言ってる音はもしかしなくてもフーゴが近付いてくる音……!

、大丈夫ですから、落ち着いてください」
「ジョルノ、から離れろ!」
「……逆じゃないです?」

 フーゴ怒ってるすごい怒ってる!ヘイズが、カプセルが来る!!

「たったたたジョルノたたたす助け……!」
「ほらフーゴのせいでが怯えてる」
「~~ッ! いいから離れろ!」

 ジョルノの背中が引っ張られるのを感じる。ああああせっかく相談に乗ってくれたのに道連れにするのは本当に申し訳ないけどフーゴに顔見られたらウイルス感染の前に羞恥で死んじゃう……!

「やだああジョルノ行かないでええ!!」
「なんでジョルノばっかり……ッ!」

 さっきよりももっと怒った声でフーゴが言うのと同時についにジョルノの背中からベリッと剥がされた。拷問が始まってしまう……!
 ずっとつぶってた目を反射的に開くと、めちゃくちゃ怒った顔のフーゴがどアップで視界に映った。

「……!!」

 ので、パニックになってフーゴが口を開く前に部屋から飛び出した。