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毎日毎日、抱えきれないくらいの仕事が降ってくる。一つ終わったと思ったら十増える。十終わったと思ったら五と八が舞い戻ってきたりする。そんな日々を過ごしていると、段々と自分が干からびてくる。心の奥底がしびれて、麻痺して、大切なものが何なのか、自分はどこにいるのか、よく分からなくなってくる。
「これは……今のこれは、良くない」
もう何日続けてかも分からないが深夜に帰宅して、薊は遂にそう認めた。言われたの方はというと、先程まで落ちていたまぶたを擦りながらきょとんとしていた。
「何が良くないんですか?」
「今の俺達だよ。ちょっと俺、君に甘えすぎてる」
薊とは同棲している。の仕事もそこそこ忙しいが、薊の多忙さとは比較にならない。だから、大体の家事はがやっていた。料理なんかも「先に帰った方が作る」と同棲を始めた時に決めたのだが、結局の所ほぼの担当固定となっている。先程帰ってきた薊は、ラップをかけられた料理とソファで寝落ちしているを見て、もうたまらない気持ちになったのだった。
二人が話せるのは夜寝る前に少しと、朝互いが出勤する前の僅かな時間。せっかく一緒に住んでいるのに、ろくに顔を合わせられず、会話も出来ずにいる。
「甘えすぎって……奏士郎さん、誰にも甘えられてないからそんなに忙しいのに」
「う、まあそれはある。それで、結局その皺寄せが君に行ってる」
薊は固定での休みが無いが、は週末休みだ。確実に二日間まとめて休みを取ることが出来るから、溜まった家事もその時に一気に彼女が片付けている。薊がたまの休みに昼頃起きてくると大体の食器洗いや洗濯は済んでいて、一人残された家で細かい場所の掃除をするのが関の山だった。お陰で薊は風呂のカビ取りが得意になった。
「偶然だけど今日、流石に周りに働き過ぎだって言われてね。来週三日間休めることになった」
「え! 良かったですね」
まだ眠たげだったの顔がぱっと喜色に染まった。心底安心したようなその様子に、心配させていたのだろうと申し訳なくなる。
「土日月って休みにしてもらったから、二日と休みが被るよ」
「本当ですか!? 嬉しい」
一緒にゆっくりできますね、と言うのに頷く。
「土曜はゆっくり休んで、日曜か月曜はどこかに遠出しないかい? が良かったらだけど」
「せっかくの三連休なのにしっかり休まなくて大丈夫ですか……?」
「もうずっと一緒にどこか行ったりしてないし。それに俺が何日も身体動かさないと気持ち悪くなるタイプなの、も知ってるだろう」
確かに三日丸々家で休んだ方が身体的にはしっかり回復するだろうが、結局のところ薊は根っからの体育会系かつアクティブ派なので、ずっと休んでいるのものんびりしすぎるのも苦手なのだ。それに何より、せっかくと一緒に居られるのだから、めいっぱいその時間を楽しみたい。
もう若いとはギリギリ言えない歳ではあるが丸一日休めばある程度は回復するはずだし、と思いつつに言うと、未だ少し不安げな顔をされたものの、少し置いてから首肯が返ってきた。
「……ふふ、楽しみです」
「僕も」
その後じわじわと彼女も嬉しくなってきたのか零すように笑う姿がひどく愛しくて、薊も顔を緩ませた。来週は楽しくなりそうだ。
イメージソング:スピッツ - シロクマ